【実践手続編①】投資のはじめかた

トレードリスク管理術 ー 実務家視点!個人投資家でも使えるメソッド
  1. この投稿について
  2. 投資に必要な手続き≒銀行口座の開設+銀行振込でのショッピング
    1. 投資に必要な手続き
  3. 1. 総合証券口座をつくる:投資のための第一歩
    1. 総合証券口座とは?:投資のための標準口座
    2. Q. どうして証券口座が必要なの?銀行口座じゃだめ?A. 証券口座では、取り扱っている金融商品の種類が豊富
    3. Q. どうやって証券会社を選べばいいの?A. 取扱商品・手数料・サービスに差がある。初めはこだわらなくても目についた会社でいい。
    4. 証券口座を開くために何をすればいいの?:口座開設方法の3つの選択肢
  4. 2. 総合証券口座に入金する
    1. 証券会社のホームページで手続きすれば、手数料無料で入金できる
  5. 3. 金融商品を購入する
    1. 売買の3つの選択肢:対面・電話・ネット
  6. 手続きのイメージはついたでしょうか?

この投稿について

  • 投資に興味はあるけれど、分からないことが多いので手を出していない方、自分にとって投資は縁遠いと思っている方に向けて、投資のはじめかたをまとめました。
  • この投稿を読むことで、投資の世界への扉の開け方を知ることができます。

それでは、詳しく見ていきましょう。

投資に必要な手続き≒銀行口座の開設+銀行振込でのショッピング

 「投資に興味があるけれども、やり方が分からないから手を出せない…」
そんな方も多いのではないでしょうか。投資を始めるためのステップは、意外とそれほど多くありません。

具体的には次の通りです。

投資に必要な手続き

投資に必要な手続き
  1. 総合証券口座をつくる
  2. 総合証券口座に入金する
  3. 金融商品を購入する

総合証券口座は銀行口座を作るのと同様につくることができます。
総合証券口座への入金と金融商品の購入は、順序が逆なだけで、店頭や電話、インターネットでのショッピングとさほど違いません。

  • 【哲学編②】で書いたとおり、銀行預金やタンス預金も資産運用と言って差し支えないものでした。預金をしていない方は稀有でしょうから、貯蓄ではなく、投資のはじめかたを解説します。貯蓄にも種類はあるため、将来的には貯蓄の種類も解説したいと思います。

それでは、ひとつひとつ解説していきます。

1. 総合証券口座をつくる:投資のための第一歩

総合証券口座とは?:投資のための標準口座

 「総合」証券口座は、証券会社に口座を作る際の基本となる口座です。株式や債券、投資信託を売買することができます。

総合証券口座を開設する際、特定口座と一般口座がありますが、基本的には特定口座を選びましょう。
特定口座を選ぶと、源泉徴収の有無を選択できます。こちらも基本的には源泉徴収ありを選びましょう。

特定口座とは?:税金を自動で計算してくれる口座

 投資の利益には税金がかかります。この税金を自動で計算してくれるのが特定口座です。
 特定口座の中でも、源泉徴収のあり・なしの選択があります。「よくわからない!」という方は、源泉徴収ありを選びましょう。基本的には源泉徴収ありにして不利益を被ることはありません。

源泉徴収とは?:利益が出た時点で証券会社が税金相当額を自動で差し引いておいた上で、国に納付すること。

 利益の「源泉」で税金を差し引く(=「徴収」する)から、「源泉徴収」という名前なわけです。
(上記はこの投稿の文脈上の意味であり、証券会社に限らず「源泉徴収」という言葉は使われます。)

 源泉徴収ありを選べば、個人では税金の申告をする必要が全くなくなります。従って、基本的には源泉徴収ありを選びましょう。源泉徴収なしを選択すると、自分で確定申告をしなければなりません

 源泉徴収ありを選択した場合でも確定申告を別途することもできるため、税額で損をすることはありません

  • 基本的には確定申告自体不要ですが、具体的には、配当所得を総合課税にすることで還付が受けられる場合があります。
NISA口座(NISA・つみたてNISA用の口座)は別に開設が必要

 NISAは利益に税金がかからない制度です。税金の計算が必要な口座とは別になる理由も分かりますね。

FXや信用取引、先物・オプション取引を行いたい場合も、別の口座の開設が必要

 証券会社に作る口座としては、総合証券口座・NISA口座とは別に、派生として、以下のような口座があります。
 それぞれ、特定の金融商品/取引に取り組むにあたって必要になる口座です。いずれも、初心者には手出し無用です。

  • 信用、貸株、FX、CFD、バイナリーオプション、先物・オプション、金・プラチナ
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Q. どうして証券口座が必要なの?銀行口座じゃだめ?A. 証券口座では、取り扱っている金融商品の種類が豊富

 銀行口座を持っているのに、なぜ証券口座が必要なのか?とお思いの方もいるかもしれません。
銀行でも一部の金融商品は購入できるものの、選択肢が限られてしまいます

  • 特に銀行では、株式は取り扱われていません。銀行の取扱いがある金融商品であっても、選択肢が絞られており、狙ったリスクを採れなかったり、コスト面で不利な選択をせざるを得ない可能性もあるので、証券口座を開設しましょう。

 銀行で取り扱いのある金融商品が少ない背景としては、次項で解説する通り、銀行口座に置くお金と、証券口座に置くお金では、その性質が大きく異なるため、過去には、銀行では預金以外の取扱いが認められていなかった点があります。

銀行口座と総合証券口座のちがい:分別管理の有無

分別管理とは、その会社が、自分のお金と、預かっているお金を区別して管理していることを指します。

分別管理のイメージ

 ごく簡単に言えば、銀行預金は、銀行が倒産すると帰ってこない一方で、総合証券口座に置いているお金は、証券会社が倒産しても帰ってきます

それぞれをもう少し深掘りします。

  • 銀行
    • 銀行が自分で株式や債券の発行により調達した資金と、預金者から預かったお金は同様に扱われています。預金者の立場から言えば、銀行にお金を貸している状態です。
    • 銀行の倒産時には、預金保険制度で1,000万円まで保護されますが、それ以上には預金は帰ってきません。
  • 証券会社
    • 証券会社が株式や債券の発行により調達した資金と、顧客から預かっているお金は全く明確に区別されます。
    • 証券会社が倒産しても、証券会社に置いてあるお金が無くなることは(少なくともルール上は)ありません
      • 実際には、きちんと分別管理が出来ておらず帰ってこないリスクが考えられるほか、帰ってくるにしても、倒産から返還までにかかる手続きが多く、数か月の期間がかかる場合が考えられます。
        ただし、証券口座の資産が返還されない場合にも、投資者保護基金で1,000万円までは保証されています。この点は銀行預金と同様ですね。
      • 証券会社に置いてあるお金は、実際には、ほぼほぼ倒産しないといえるほど信用力が高い債券で運用されています。
        万万が一、これらの債券で資金調達をしている国や自治体、会社が倒産すると、資産が減ってしまうことになるものの、これらの国や自治体・会社は、銀行よりも倒産する心配は低いと考えられます。
        • 元本保証ではありませんが、非常に信用力の高い債券なので、値動きは非常に小さく、コロナショックを除いて元本を割れたことがありません。
        • 「運用されている」の意味:
          • 預けたお金でそれらの資産(ここでは債券)が購入されている状態です。債券を保有しているのと同義です。
          • より具体的には、MRF(マネー・リザーブ・ファンド)という、信用力の高い公社債の投資信託で運用されています。「ファンド」が、投資信託を意味します。
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<参考>口座の性質の違いは、ビジネスモデルの違いから

 投資の基本が銀行口座ではなく総合証券口座である理由にも関連するため、ごく簡単に銀行と証券会社の双方のビジネスモデルを紹介します。

銀行と証券会社のビジネスモデル
  • 銀行
    • 「資金を貸したいひと」と、「資金を借りたいひと」を、当事者として間に立ってつなぐのが、銀行のビジネスのひとつです。
      • 銀行は、預金を受け入れて、預金者に対して利息を返します。銀行は、受け入れた預金を資金ニーズのある人に貸し出して、資金を借りた人から利息を受け取ります。あるいは、有価証券(株式や債券)に投資をして、配当や利息を受け取ります。
        貸出先や投資先から受け取る利息と、預金者に返す利息の差額が、銀行の利益になります。
      • 銀行口座の預金は、預金者の立場から見れば、銀行にお金を貸していることと同義です。
  • 証券会社
    • 「金融商品を売りたいひと」と、「金融商品を買いたいひと」をつなぐプラットフォームになったり、当事者として間に立ってつなぐのが、証券会社のビジネスのひとつです。
      • 証券会社は、お客さんの代理人として取引所で売買を行う際か、取引所で売買されていない金融商品についてお客さんの売買ニーズを受ける際の手数料で収益を得ています。
      • 証券会社は基本的には、お客さんのための売買を行います。証券会社は言うなれば、金融商品の卸売業者です。
        • 株式等を取引所で売買できるのは登録している証券会社だけで、個人投資家が取引所にアクセスしたい場合、証券会社を通す必要があります。このとき、証券会社は売買の当事者にはならず、取引所での売買のプラットフォームを提供しているにすぎません。
          • 築地・豊洲市場のマグロのセリに出られるのはマグロの卸売業者だけなので、もしセリでマグロを買いたい!となったら、卸売業者に頼むしかない、という構図に似ています。
        • 他方、取引所で取引されていない商品の場合には、証券会社が売買の当事者となり、お客さんと直接、該当の商品の売買を行います。
          • お客さんの売買ニーズを当事者として直接受けた証券会社はリスクヘッジのために、他の証券会社や、他の投資家とも、直接の当事者として売買します。
          • 例えば、お客さんからとある債券の売却ニーズを受けて買い取った場合、その債券を買い取ってくれる別の投資家を探し、売却する、という流れです。債券を買い取ってくれる投資家が見つかるまでは、証券会社も一部は自分でリスクを持っていることになります。
      • 証券口座のお金は、あくまでその証券会社と売買を行うために、証券会社という金庫にお金を置いてあるだけのイメージです。
        • 極端に言えば、ポイントサービスに近いかもしれません。その口座のお金は、その会社のサービスでしか利用できません。
          (ただしポイントではなくお金なので、口座から出せばどこでも利用できますね)
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Q. どうやって証券会社を選べばいいの?A. 取扱商品・手数料・サービスに差がある。初めはこだわらなくても目についた会社でいい。

証券会社間の違い

 証券会社は上記<参考>の通り、金融商品の卸売業者です。会社によって、取り扱っている商品や手数料に違いがあります。

  • 傾向としては、大きな証券ほど対面売買や電話対応が手厚い傾向があります。対応が手厚い一方、そこに人件費が割かれるため、手数料が必然的に高くなりやすくなります。
  • 他方、対面での売買が不要であったり、電話対応にそれほど重きを置いていないひとには、ネット証券という選択肢もあります。

ところが正直、投資を始めてみないことには、取扱商品や手数料の差は分かりにくいものです。あとから口座を閉鎖することも当然可能なので、一旦目についた証券会社で始めてしまっても構わないと思います。

 手数料や取扱商品のランキングは多くのサイトで紹介されているので、そちらを参考にもできますね。

証券口座を開くために何をすればいいの?:口座開設方法の3つの選択肢

口座開設方法3つの選択肢

証券会社を決めたら、口座開設には3つの選択肢があります。いずれも、氏名・住所・マイナンバー等の分かる身分証明書が必要です。

  • <対面>
    • 銀行口座と同様に、店舗に赴いて、口座を開設する。その場で口座の開設が完了。
  • <郵送>
    • まず、証券会社のホームページから口座開設のための資料を請求。届いた申請書に、必要な情報を記載・押印し、身分証明書のコピーを添付して返送すれば、数営業日のうちに口座の開設が完了。
  • <ネット>
    • ネットで氏名・住所・マイナンバー等が分かる身分証明書のデータを送信することで、数営業日のうちに口座の開設が完了。

取引開始までに、投資経験等を聞かれます

 口座を開設する際や開設してから取引を開始するまでに、投資経験や保持している金融資産金額を聞かれます。正直に答えましょう

今後、リスクアペタイトに関する記事で詳述していきますが、初心者にはリスクが大きすぎて勧められない商品は、証券会社の側で取引を制限していることがあります。
上でも「初心者には手出し無用」と述べた取引の一部が対象です。

インサイダー取引を検知するために、親・子会社の上場有無も聞かれます。こちらも当然、正直に答えましょう

2. 総合証券口座に入金する

 無事に口座が開設できてから実際に取引をするためには、金融商品を購入する元手となる現金を総合証券口座に振り込む必要があります。

証券会社のホームページで手続きすれば、手数料無料で入金できる

口座入金の流れ

 大抵の証券会社では、インターネットで総合証券口座に対しての振込の申し込みができ、入金元の銀行口座のインターネットバンキング経由で振込を行うことができます。
 この方法を使えば、総合証券口座への振込手数料は証券会社が負担してくれます。
 入金元の銀行口座のインターネットバンキングが使える必要があるため、手続きをしておきましょう。

  • 手数料が無料になるのは、上記の<参考>で述べた通り証券会社は金融商品の卸売業者なので、証券会社の立場からすれば、自分と、あるいは自分のプラットフォームで売買をしてくれたほうが、証券会社が収益を得る機会が多くなるからです。当然と言えば当然かもしれませんね。

ネット証券では、総合証券口座、系列のネット銀行の口座が連携している場合も

 ネット証券では、ネット銀行の口座とネット証券の口座が連携していて、ネット証券での注文時(売買が成立したタイミングではなく、売買の注文を出したタイミングです)に、自動でネット銀行の預金が証券会社に入金されるサービスがあったりします。
入金手続きを毎回踏まなくてよくなるので、ネット銀行を既に利用しているひとにとっては、非常に便利なサービスですね。

ネット銀行とネット証券は同時に口座開設の申し込みができる場合も多いため、総合証券口座と銀行口座を同時に開設すれば、手続きは1回で自動入金サービスを使うことができることになります。

ちょっと脱線:振込手数料を減らすライフハック術

 ネット銀行では、月に数回振込手数料が無料になる場合が多いです。
 メインで使っている銀行で振込手数料が掛かってしまう場合にも、上記の総合証券口座への振込が手数料無料になるサービスを利用すれば、メインで使っている銀行口座⇒ネット証券の総合証券口座⇒ネット銀行の口座⇒振込、と経由することで、目的の振込先に手数料無料で振り込むことができます

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3. 金融商品を購入する

売買の3つの選択肢:対面・電話・ネット

金融商品を購入する

 今回紹介した総合証券口座で売買できるのは株式や債券、投資信託になります。その他の商品の売買には、別途口座を開設する必要があります。

スマートフォンが行き渡っている現状においては、株式やFX、先物・オプション取引であればアプリが作られていて、アプリで行うこともできます。
ネットで取引を行うということであれば、筆者の経験上は、アプリのほうがインターフェースが使いやすく、分かりやすいことが多いです。今回紹介した総合証券口座で取り扱えるものでアプリで取引できるのは、株式に限られますね。

 では、どのような金融商品を買えばよいのか?とお感じの方も多いかと思います。
 投資は最初から最後まで、「何を」「いつ」買うかに尽きるのが事実で、これらの考え方については、今後少しずつ考え方を詳述できればと思います。

手続きのイメージはついたでしょうか?

 投資は「習うより慣れろ」という側面があるのは事実で、やりながら覚えていくほうが効率的である点は否めません。
 口座開設だけなら通常はお金はかからないので、まずは総合証券口座を開設して、資産運用・投資の世界の入り口に立ってみてはいかがでしょうか。それでは。

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